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最高裁判所第二小法廷 昭和41年(あ)2277号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中八〇日を本刑に算入する。

理由

弁護人笠井盛男の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(麻薬取締法六四条の二第二項にいわゆる「営利の目的」とは、麻薬の交付、所持等の行為の動機が財産上の利益を得る目的に出たことをいい、本件のように、被告人が犯行に加担した動機が、共犯者に融通していた金員の回収を図ることにあった以上、営利の目的があったものと認むるに妨げないとした原判断は相当である。また、共犯者が被告人の自宅に持参した麻薬粉末約二六〇グラムを、売りさばきに便ならしめるため、一〇〇グラム単位に計量小分けする際、右共犯者と共同所持した被告人の行為と、同日右麻薬粉末のうち約一〇〇グラム包一個を、右共犯者と共に近くの喫茶店に携行し、第三者に売りさばき方を依頼して交付した被告人の行為との間には、それが共に営利の目的に出た場合であっても、牽連関係は成立せず、両者は併合罪の関係になるとした原判断も相当である。)。また、記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

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